写実体ファントムを用いた脳表面の熱中性子束分布測定の再現性

山本 和喜; 熊田 博明; 山本 哲哉*; 松村 明*

日本原子力学会和文論文誌, 3(2), p.193 - 199, 2004/06

https://doi.org/10.3327/taesj2002.3.193

本研究は、忠実に頭の形を再現した写実体ファントムを用いた実験的手法による線量評価の可能性を調べることを目的とし、患者の写実体ファントムの製造及び実際の医療照射条件の再現について検討した。われわれはコンピューター断層撮影(CT)画像から写実体ファントムを製作するために、光造形技術を選択した。製作されたファントムは、当該患者の臨床照射と同じ条件下で照射され、脳表面上の熱中性子分布が詳細に測定された。写実体ファントムの製作において、材料及びデータ変換上の幾つかの課題について指摘した。写実体ファントムを使用して、医療照射を再現した結果、脳表面の最大熱中性子束は、実際の脳の表面より約22%低い値になった。本論文中で指摘した課題が解決されれば、線量評価システムを検証することが可能となるものと期待できる。